救世観音菩薩

　観音菩薩は仏さまの大慈悲の心で自在に変化して、あらゆる手だてによって人々を救ってくださるありがたい菩薩さまです。

　この大慈悲によって人間に元々そなわっている仏の性質を開かせるのが本来の誓願です。観音様の信仰が広まるにつれて、観音菩薩は三十三身に変化し、自在に観音力を発揮して人々の悩みをはらし、願いをかなえてくださいます。

　なかでも救世観音菩薩は諸仏菩薩のなかで最も現世利益があらたかなのもとして、その信仰の広さはこれに及ぶものはありません。この救世観音菩薩はその名称の如く、世を救い衆生の苦しみを除いて平等に幸せを与え給うのです。

　古代日本に聖徳太子が建立した法隆寺の夢殿に「救世観音像」がまつられています。聖徳太子は仏教守護の大威神力を深く信じ、ご在世中に宏大なご威徳を残されたのも救世観音菩薩のお導きによるものとされています。